令和元年第2回定例会代表質問
掲載日:2019.06.06
(1)路上喫煙禁止の推進
「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の改正にともない、区内全域の公共の場所等について全面禁煙とすることが決まりました。しかしながら、現状は渋谷駅、原宿駅、恵比寿駅などの周辺には、多くの指定喫煙所が残っており、その多くは、指定喫煙所に、灰皿を置いてあるだけというのが現状です。指定喫煙所では、喫煙者の方が、灰皿を中心にして、歩道に大きく広がってタバコを吸っています。
健康増進法の一部を改正する法律では、望まない受動喫煙をなくすこと、子ども・患者など受動喫煙による健康への影響が大きいことを考慮して、受動喫煙対策を一層徹底することが求められています。また、東京都が制定した東京都受動喫煙防止条例は、受動喫煙による都民の健康への悪影響を未然に防止することを目的としています。厚生労働省の報告書の中には、日本では、受動喫煙による年間死亡者数は、推定約1万5000人とされており、肺がん、脳卒中のリスクは1.3倍に上がり、乳児性突然死症候群のリスクは4.7倍に上がると報告されています。
東京オリンピックの会場も、加熱式たばこも含め、完全禁煙になることが発表されており、また練習会場、スポンサーによる展示スペースなどでも禁煙となっています。 これらのことを踏まえて、渋谷区内に残っている指定喫煙所のしっかりとした分煙対策を行うべきではないでしょうか。今定例会の補正予算にコンテナ型の喫煙所設置の予算が計上されています。本来であれば、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の改正とともに、全ての指定喫煙所を煙の出ないものにすることが望ましいですが、指定喫煙所を残すのであれば、コンテナ型の喫煙所へと早急な移行をお願いしたいです。区長の見解をお伺いします。
区長
現在、渋谷駅、原宿駅、恵比寿駅周辺には、喫煙者のために指定喫煙所を設定していますが、その中には、衝立等がなく、灰皿だけが設置されているところもあるのが現状で、条例改正に合わせて早急な対応が求められています。
「渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例」では、公共利用の屋内喫煙施設の設置を義務付けていますので、今後、受動喫煙対策にもなる「屋内喫煙施設」が設置されることに応じ、受動喫煙対策のとれていない指定喫煙所は、順次、撤去することを考えてきたところです。
しかし、屋内喫煙施設の設置には、時間が必要なこともあるため、所信でも申し上げましたが、「渋谷駅ハチ公前喫煙所」については、既存の喫煙所をコンテナ型喫煙所に変更する予定です。
来月7月1日からは、過料の徴収が始まります。指定喫煙所の見直しや新たな喫煙所設置の検討については、コンテナ型(トレーラーハウス型)喫煙所の設置に、ある一定規模以上の空地(民有地含む)諸条件を満たすスペースが必要なため、現在、全庁的なプロジェクト体制を立ち上げ探索しており、条件が整い次第、設置を順次進めてまいります。
(2)ねずみ対策
東京都では「東京都ねずみ防除指針」を策定しており、市区町村に対してねずみ対策のガイドラインとして活用するにように求めているものです。まず、防除とは、ねずみの「発生及び侵入の防止」と「駆除」という意味です。
ねずみが引き起こす被害は、衛生上の被害として、ねずみ由来の感染症があげられます。都市機能を阻害する被害としては、電線ケーブルやガス管をかじることによる停電や火災、爆発事故、それに伴うシステムダウンや交通機能の停止などがあげられます。
大阪府枚方市では、ねずみにコンセントがかじられ、ぼやが出た事例が消防組合の報告でありました。また、ねずみに光通信ケーブルがかじられ電話が不通になった事例もあります。
渋谷区の対策として、現状、町会や商店会などにねずみ取り用の粘着シートの配布と殺鼠剤の配布を行っております。しかし、渋谷区が今年度、配る予定になっている2種類の殺鼠剤のうち90%を占める殺鼠剤は、スーパーラットと呼ばれる近年増加しているねずみには効果がないとされています。スーパーラットとは、東京都に生息しているねずみの9割といわれるクマネズミのうち、殺鼠剤に対して耐性ができたねずみのことを言います。このスーパーラットの割合を調査したところ、新宿では約80%がスーパーラットという調査結果も出ています。
飲食店等では、定期的に、害虫駆除業者をいれ、ねずみ対策をしていますが、費用も高額になるため行いたくても行えない企業が多数あるのが現状です。
東京都北区では、建物の解体工事に伴って生ずる近隣紛争を未然に防止するために「東京都北区建築物の解体工事計画の事前周知に関する指導要綱」の中で、ねずみ等防除の衛生対策を行うことを盛り込んでいます。要綱の中で、解体工事の事前にねずみの生息状況を調査し、生息が確認されたときは、駆除することを規定してあります。
東京都中央区では、2019年度からねずみ駆除に対する補助制度をはじめました。補助の対象となるのは、区内の町会・自治会・商店会などで、ねずみ駆除のための物品購入費や業者への委託費などの三分の二を補助します。ねずみは繁殖力が高く、面的、広域的に駆除に取り組むことが有効で、ねずみ駆除には多くの団体の協力が不可欠です。
ねずみ対策のパンフレットを作成し、ねずみ駆除のポイントをまとめ、町会や商店街に配布し、対策をとることはいかがでしょうか。また、東京都中央区同様に専門業者による駆除に対して、補助金を出すこと、そして、東京都北区同様に建物の解体の際には、必ずねずみの駆除を行うよう、指導を行っていくことはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
ねずみ対策の周知については、区ホームページで対策のポイントを案内するほか、電話等による個別相談を行っており、パンフレットを作成することは考えていません。また、飲食店等は、食品衛生法における衛生措置として、ねずみ対策が義務付けられています。このため、本区では、平成二十二年度より飲食店営業許可更新時の講習会において、ねずみの駆除泰遺作について説明しており、今後も引き続き実施いたします。なお、事業者が専門業者に委託した場合の補助金については、実施する予定はありません。
議員ご提案の、建築物の解体工事の際にねずみ駆除の指導を行うとのことですが、各種相談事例からも、ねずみの捕獲あるいは駆除は非常に難しいと認識しています。解体時に指導を行ったとしても実効性に乏しいと考えますので、今後の研究課題とさせていただきます。
(3)落書き消しについて
現在、渋谷駅周辺には多くの落書きがあります。その大部分は、無断で書かれた違法なものです。「きれいなまち渋谷をつくる条例」の第十四条には、土地・建物の所有者または管理者が落書きに対して、落書きが放置されているため地域の美観を著しく損なう状態にあるときは、落書きを消去し、原状回復を図るとともに、良好な状況の維持に努めなくてはならないとしています。この条例では、落書きを消す主体は、土地・建物の所有者または管理人となっています。このことからも渋谷区として現在の渋谷駅周辺の落書きの実態、現状を把握していますでしょうか。
現在、渋谷区では、町会単位で定期的に落書き消しを行っている地域もありますが、落書きは、消しては書かれ、書かれは決してのイタチごっこが続いてしまう現状があります。しかし、景観の悪化は、治安の悪化にもつながります。アメリカのニューヨークでは、地下鉄の落書き撲滅キャンペーンを展開したところ、治安の改善につながったという報告もあります。現在、活動している団体には、しっかりとしたこれまで以上の補助を、また区として、たびたび書かれるところには、東京都港区で行っているように、防犯カメラの無償での貸し出しを行うのはいかがでしょうか。さらに、落書きを消した所には、落書きを消したというシール等を作り、掲示していくのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
落書きの把握については、区では区民や事業者からの相談や苦情、あるいは庁外で職務を行う職員から情報を得て、確認している状況です。落書き消しに関しては、区内各地区の美化推進委員会に委託し、対応をお願いしています。また、区民、事業者や団体、区が連携協力した「渋谷をつなげる30人」から派生したボランティアの方々も独自に、精力的な活動をされています。本区としては、資器材の提供や貸し出しを行っているところですが、これからもボランティア団体等の広がりが図られるよう、引き続き支援してまいります。
防犯カメラについてのご提案ですが、防犯カメラの無償貸し出しについては、落書き防止には有効であると考えますが、設置場所や管理については課題と考えられます。他自治体で今年度から実施するとの情報がありますので、その実施状況や効果を参考に今後検討することといたします。また、落書きを消した場所には、シール等を掲示してはどうかとのご提案ですが、区民等の落書き消しの取り組みをアピールするとともに、周囲の注目をあびるということで、落書き抑止にもなると考えますので、検討してまいります。
(1)安全な遊具があるインクルーシブな公園への改修について
区内の公園を、障がいのある子どもも、ない子どもも、一緒になって安全に遊べる遊具を設置してあるインクルーシブな公園へ改修することを提案します。具体的としましては、車いすに乗ったまま遊べる大型遊具や、体を支える力が弱い子が乗れるブランコなどの設置や、遊具の下に衝撃を和らげるクッション性のある舗装を行うこと、休憩所には車いすで利用できるテーブルを用意し、日光に弱い子に向けて日よけを用意するなど様々あります。ちがいをちからに変える街、渋谷。それぞれの個性を持った子どもたちがみんないっしょになって遊べる街、渋谷。そのためにもインクルーシブな公園の整備を押し進めて頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
本区としては、先行して整備を進めている東京都と連携し、できる限り導入していければと考えています。車いすに乗った子、体を支える力が弱い子や日光に弱い子など、様々な子どもたちが、一緒になって安全に遊べる遊具を整備していくということは、本区が掲げる、「ちがいをちからに変える街、渋谷区」という、めざすべき、あたらしい未来像へチャレンジしていくことそのものです。したがいまして、障害の有無にかかわらず、全ての子どもたちが安全に楽しく、ともに成長できるような公園を整備することが大切であると考えております。
(2)障がい者の方が利用しやすいスポーツ施設について
障がい者の方も利用できるスポーツ施設について、車いすからトレーニングマシーンに乗り移って運動するためには、専門のトレーナーや介助者が同伴する必要があるのが今までの現状です。しかしながら、現在は、車いすに乗ったままトレーニングできるトレーニングマシーン等が増えてきています。このような、障がい者の方が使いやすいトレーニングマシーンを導入することにより、障がい者の方が、自分のタイミングで運動ができ、体力・自信をつけることができれば、社会進出する足掛かりになるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
議員ご提言のとおり、障がいのある方が、スポーツを通して、体力・自信をつけ、社会進出する足掛かりを得ることは、非常に大切なことであると考えます。 現在、渋谷区立のスポーツ施設は、スポーツセンターをはじめ、猿楽トレーニングジムやひがし健康プラザなど11か所あり、そのうちトレーニングジムは2か所に設置されています。すべてのスポーツ施設は、スロープやエレベーターなどバリアフリー化されており、車いすの方にも支障なく入場できるように整備されております。本年度より、教育委員会は、新たに「障がい者スポーツ体験教室」を実施し、これまで、スポーツ施設を利用したことがなかった方にもご参加いただく機会をつくり、大変好評を得ているところです。車いすの方をはじめとする障がいのある方が、利用できるスポーツ施設のあり方については、まずは多様なスポーツに参加していただく機会をつくり、そこで多くの皆さんからご意見を聴きながら、様々なスポーツに親しめる環境を整備することを検討してまいります。また、所信表明でも申し上げたとおり、渋谷区では、車いすの方でも、どのような年齢の方でも、皆さんがともに、参加できるボッチャを普及させていきたいと考えています。
(3)渋谷駅周辺小規模施設のバリアフリー化の助成について
2006年12月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」いわゆるバリアフリー法が施行されました。この法律により、駅を中心とした地区や公共施設等が集まる地区において、重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するため、区市町村が一定の地区、重点地区を定め、その地区のバリアフリー化の事業を推進に関する計画(バリアフリー基本構想)を策定することできるようになりました。また2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、障害者差別解消法では、社会的障壁を取り除くために、必要かつ合理的な配慮を行うことや、配慮を行うための環境整備として、バリアフリー化の実施に努めることが求められています。
渋谷区では、道路、公園、公共的な建築物等を整備する際、東京都福祉のまちづくり条例に則り、バリアフリーに配慮したまちづくりを進めてきた中、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、より一層の充実したバリアフリー化の実現に向け、2018年3月に「渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想」を策定しています。
本年度の事業計画にある、渋谷駅周辺小規模施設に対するバリアフリー化推進助成について、予算が250万円となっており、渋谷区が整備費用の二分の一を助成するもので、上限金額50万円が3回、100万が1回となっています。この事業に関して、先日担当の課にお聞きしたところ、まだ告知方法等や、対象になる店舗の規模なども、検討中とのことでした。この事業の事業目的に2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けておもてなしの向上とあります。オリンピック、パラリンピックの事前合宿も早いところでは年明けからはじまる国もあります。早急に内容を決め、告知をしていかなければ、工事も間に合わなくなってしまいますが、計画はどうのようになっていますでしょうか。
また、助成の対象が4件と少ないところも申請する側からすると、二の足を踏む一つの要因となってしまうのではないかと考えます。今後の事業拡大のお考えはありますでしょうか。さらに、バリアフリー工事をするには、お店をお休みしなくてはならない場合もあります。この助成のほかに、簡易設備の設置、車いすの方などのための簡易スロープの購入などに対して、この助成金とは違う、小規模の補助金を行う考えはありますでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
今年度創設する渋谷駅周辺地区の小規模施設に対するバリアフリー化推進助成制度は、飲食店などの小規模店舗に対するバリアフリー整備費用の一部を助成するもので、このことにより、障がい者や高齢者の方々が、安心して渋谷の街の魅力である小規模な路面店などを訪れ楽しむことができるようにしていきます。事業の実施に当たっては、区ニュースへの掲載とともにエリア内各商店会へ周知しながら、当面は着実な事業設計と実施に努め、民間施設のバリアフリー化を進めてまいります。また、事業規模などの拡大については、実績を見ながら今後の展開について検討してまいります。なお、お尋ねのバリアフリーに関する小規模の助成制度を策定する計画は今のところありません。
(4)緊急ネット通報システムについて
東京消防庁が運用している、聴覚や言語機能などに障がいがある人向けにスマートフォンやタブレットからインターネットを通して119番を通報する緊急ネット通報というシステムがあります。この通報システムを広報に載せるなどして、渋谷区として啓発活動を行うことはいかかでしょうか。
これまで、聴覚や言語機能に障がいのある方は、ファックスやメールで119番通報を行うしか方法がありませんでした。しかし、いざ火事になったとき、落ち着いてFAXを送れるでしょうか。そこで、このスマートフォンやタブレットから119番を通報できる緊急ネット通報システムが活躍します。このシステムは事前登録が必要です。システムの利用者は、事前に自宅やよく行く場所などを登録します。そして、いざ火事となった時に、スマートフォンやタブレットからアプリを起動して、専用ページにアクセスして、通報ボタンで「救急」か「火事」、「自宅」か「外出先」などを選ぶことで、音声に頼らず通報ができるシステムです。外出先の場合は、GPSから取得した位置情報から地図が画面上に表示され、通報者の現在位置を特定することができます。このシステムがあることで、聴覚や言語機能に障がいのある方でもスムーズに119番通報することができます。現在、東京消防庁に確認したところ、まだ約900人の登録しかないとのことでした。愛知県名古屋市などでは、市をあげて、啓発活動を行っています。渋谷区もこのシステムの啓発を行うのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
「渋谷区障害福祉推進計画」の策定にあたり、平成28年度に、区内在住の障がいのある人を対象に実施した調査では、約40%の人が携帯電話やスマートフォンを日常生活で使用しています。このように、障がいの有無にかかわらず、携帯電話やスマートフォンの利用率が高まる中、議員ご指摘の緊急ネット通報は、聴覚や言語機能に障がいのある人にとって、命と安全を守る上で大変有益なツールです。区としても、東京消防庁と連携しながら、区ホームページへの掲載を含め、積極的な周知に努めてまいります。
(5)LINEでの住民票申請について
住民票のデジタル申請について伺います。現在、渋谷区では、長期計画にもうたっているようにICTの活用により電子申請及び業務効率化をはかることを掲げています。そこで、区民の方からの申請が最も多い住民票の申請手続きを、スマートフォンから申請できるシステムの運用を始めるのはいかがでしょうか。千葉県市川市ではLINEと連携をし、自身のスマートフォンのLINEアプリで必要事項を入力し、カメラで本人確認書類を撮影した上で、電子マネーで決済を行うことで、後日住民票が自宅に郵送される仕組みを導入しています。このシステムを導入することによって、自宅などにいながら手軽に住民票を申請・取得することが出来るようになります。このシステムの導入について、区長の見解をお伺いします。
区長
議員からのご質問のとおり、千葉県市川市では、今年の3月からLINE で住民票の写し等をオンライン申請できるサービスを開始しています。一方、国においてはデジタル手続法案が先月、国会で可決され成立しました。今後、国主導によるオンライン申請も、加速度的に推進されていくものと考えます。当区での取組は、住民サービスの電子化を推進することは、行政改革の最優先課題であると考え、証明書が必要となったときに、全国どこのコンビニエンスストアでも即時に証明書が取得できるよう、他自治体に先駆けて住民票の写しなどのコンビニ交付を導入してきました。区内で利用可能なコンビニは、3 0 0店舗を超えており、コンビニ交付の利用件数は年々増加しています。今後もマイナンバーカードの普及促進に注力するとともに、戸籍証明のコンビニ交付など、区民サービスの更なる拡充を図る予定としています。ご提案の住民票の写しのLINEアプリでの申請については、先ほど申し上げたデジタル手続きの動向に注視し、今後も研究してまいります。
(6)LGBTカップル職員に休暇規定について
現状、渋谷区では、結婚時や配偶者の死亡時に取得できる慶弔休暇などを、同性カップルの職員には認めていません。同性カップルでも慶弔休暇や介護休暇をとれるように規則の改正をするのはいかがでしょうか。千葉県千葉市では、LGBTの職員が同性のパートナーと同居している場合、法律上の結婚(法律婚)や事実婚のカップルに認めているのと同じ休暇制度を利用できるよう、就業規則を改正すると発表しています。また、千葉市では、結婚休暇に当たる「パートナー休暇」の他、パートナーやその親族の介護のための休暇を付与するとのことです。
渋谷区は、全国に先駆け、長谷部区長のもと同性パートナーシップ制度を導入しています。その点からも休暇等についての規定の運用変更を提案します。区長の見解をお伺いします。
区長
渋谷区では、平成27年の渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例の制定後、「渋谷区職員互助会給付金規程」を見直し、平成 28年4月より職員がパートナーシップ関係にある場合にも、結婚祝金を支給できるようにしました。しかしながら本日に至るまで申請は一件もありません。 一方、委員ご指摘の慶弔休暇や介護休暇は、「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」に定めがあり、この変更には特別区人事委員会の承認が必要です。これまで、他区の動向を注視してまいりましたが、パートナーシップ制度を導入する区も増えてきたことから、人事委員会との調整に向けて準備を行っているところです。併せて、区職員にアライを増やす取り組みを推進し、あらゆる人が働きやすい環境づくりに取り組んでまいります。
(7)公用車へのドライブレコーダー設置について
世間では、あおり運転等の危険運転行為に対してしっかりと記録を残すという部分でも、ドライブレコーダーは大きな効果を発揮しています。また安全運転に対する職員の意識の向上にもつながります。ドライブレコーダーですが、確認したところ、現在区の総務部が所有している全12台にはついていないとのことでした。この総務部の所有している12台には区長車、議長車も含まれます。区長、議長に何かあっても困りますし、運転する職員の安心安全のため、また万が一、事故が起こった場合は、その責任の所在が明確にもなりますので、区所有の公用車にドライブレコーダーを設置してはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
ドライブレコーダーは、職員の安全運転意識及び運転マナーの向上、並びに交通事故発生時における責任の明確化及び事故処理の迅速化などに、有効なツールとして、設置される車両は増えており、その実効性も評価されるようになりました。今後、公用車にも車両更新や新規導入などの機会に、順次導入を図りたいと考えております。
(1)認知症検査に助成金について
日本では、総人口に占める65歳以上の人数が2018年9月現在で、約3600万人となっています。総人口に占める割合は28.1%と年々増えており、2025年には、30%を超えると予想されています。その中で認知症の患者数も増えており、2020年には約600万人、2040年には約800万人になるという推計があります。
認知症は、早期の発見、治療により、進行を遅らせることができます。しかし、いまだ認知症の発症原因はつきとめられておらず、認知症を治癒させる薬は開発されていません。東京都は、70歳以上の都民に対して、認知症検診の全額補助に乗り出すことを決めていますが、2019年度予算では、4自治体を先行に始めるとのことです。東京都に確認したところ、まだその選定には入っていないとのことでしたので、ぜひ渋谷区として東京都に要望し、いち早く認知症検査の助成をお願いしたいと思います。また、認知症は高齢者だけの病気ではありません。東京都の認知症検査の助成金は、70歳以上を対象にしておりますが、70歳未満にも、区として、検診費の助成を行うのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
超高齢者社会の進行とともに、認知症高齢者が増加することを見据えて、本区では認知症施策を重要施策と捉え、多方面から施策を展開しています。まずは早期発見、早期対応が重要なことから、地域包括支援センターを相談窓口として位置づけ、各日常生活圏域に認知症地域支援推進員を配置するとともに、認知症初期集中支援チームや医療機関との連携を図っています。また、渋谷区医師会の協力のもと、各日常生活圏域に認知症相談協力医を配置し、定期的な相談会を開催する中で、認知症が疑われる方を東京都が指定している認知症疾患医療センターなどの専門機関につないでいます。東京都が今年度から開始する認知症検診推進事業は、診断を各自治体が委託した医療機関で受診する費用を助成するものであり、認知症の診断を希望する高齢者の負担が軽減されるものと期待しています。本区としても要望していきたいと考えていますが、受診する医療機関との調整や、診断が出たあとのフォローアップ体制構築など導入に当たっての課題もあることから、現在、都と調整をしているところです。
なお、区が独自に検診費の助成を行うことにつきましては、今後の研究課題とさせていただきます。
(2)認知症行方不明者発見アプリの活用について
警察庁の発表によりますと2017年の認知症による行方不明者数は約1万6000人でした。この数は、統計を取り始めた2012年以降で、5年連続最多を更新しています。その中で、不幸なことに亡くなってしまった方が470人もいます。昨年、渋谷区でも認知症の方で、行方不明になった方がいました。そちらの方は、無事発見されたとのことでした。そのような、認知症行方不明者を早期に発見するためにも、認知症行方不明者発見アプリを活用し、認知症行方不明者の早期発見につなげる事業を提案します。登録された認知症患者が行方不明になった場合、行方不明になった認知症の方の家族が捜索願を出します。そうすると、アプリ登録者に通知がいき、アプリ内の地図に発生位置を明示し、チャットを行う機能もあり、進捗状況など、行方不明者の情報をリアルタイムで共有できるシステムです。このシステムは、認知症の人や家族を支援する民間団体「全国キャラバン・メイト連絡協議会」と民間企業が共同開発したもので、すでに、岐阜県大垣市などでは導入をされています。登録の対象は、過去に行方不明になり、警察の保護歴があるなどの高齢者が対象となります。
また、お隣の中野区では、徘徊高齢者探索サービスを行っています。認知症による徘徊行動のある高齢者を介護している方が対象で、GPS、位置情報サービスを活用し介護者に電話やインターネットで高齢者の現在位置を知らせてくれるシステムです。65歳以上の方が対象で、月額600円で利用ができます。
また、中野区では、認知症事故の保険導入もはじめました。認知症患者の徘徊などによって引き起こされた事故の被害者や本人を救済するものです。以前、同じ質問がありましたが、その際、区長はまだ導入事例が少ないので、今後の研究課題にとのお話でした。
平成19年には、愛知県で高齢者が徘徊中に電車に轢かれるという事故がありました。その際、鉄道会社から莫大な損害賠償を請求されるケースという事案がありました。この中野区加入の保険では、1人年間2000円ほどの保険料で、鉄道事故などで最大3億円、本人死亡などで最大50万円を保証する保険に区として加入をするというものです。40歳以上で認知症と診断された区民が対象で、31年度内に100人の申し込みを受け付け、今後も人数を増やす予定とのことです。渋谷区には、JR、小田急、京王線の路線には、多くの踏切があります。その点を考えても、この愛知県で起こったような事故が起こる可能性は皆無ではないはずです。
認知症対策に、明確な答えはありません。それぞれの自治体がそれぞれの地域にあった政策を行っています。渋谷区では、IOTを活用した、高齢者行方不明対応事業を行っていますが、そこに、地域の方をさらに巻き込む、認知症行方不明者発見アプリの導入を検討、また、GPSによる見守りサービス、認知症事故に対しての保険制度の導入など、多方面からの支援体制をとるべきではないかと考えますが、区長の見解をお伺いします。
区長
本区では認知症高齢者が行方不明になった時に備え、「見守りキーホルダー」の配布を行っています。これは、高齢者で認知症状による行方不明の不安のある方を対象に配布しており、同時に洋服などに貼れるアイロンシールもお渡ししています。この「キーホルダー」をお持ちの方が発見されると、専用のコールセンターに電話することにより、事前に登録されている緊急連絡先に連絡がいくシステムとなっています。また、認知症高齢者が行方不明になった際に、事前にご登録いただいている協力者に対し、行方不明者の情報を記載した捜索メールを配信し、早期発見・早期保護につなげる「おかえりサポートメール事業」を併せて実施しています。これらの事業に加え、東京都や警視庁の捜索システムを活用することにより、発見につながっていることからも、引き続きこれらの事業の継続、拡充を図っていきたいと思います。またICTやIoT、さらにはGPSなどの技術を活用した見守りサービスについては、多くの事業者から提案を受けており、議員ご提案の認知症行方不明者発見アプリも併せて、本区にとって最適な機器の導入に向け、検討を進めてまいります。なお、認知症事故に対しての保険制度の導入につきましては、自治体としてどこまで個人の責任に関与するのかなどの課題もあるため、他自治体の導入経過も踏まえながら引き続き研究課題としていきます。
(3)不妊治療費の助成について
現在、不妊治療に対しては、渋谷区として助成制度は存在せず、東京の特定不妊治療助成事業にまかせているというのが現状です。国の特定不妊治療の助成件数は、2016年度で約14万件あり、2008年度と比べ2倍になっています。
不妊治療は家計への負担が大きく、二の足をふむ家庭があるのも現状です。体外で受精させた胚を子宮に戻す「体外受精」は一回平均30万円、精子をガラス針で卵子に入れる「顕微授精」は一回平均40万かかります。いずれも公的医療保険の対象外となる自由診療で、全額自己負担となってしまいます。回数をかさね、数百万円を投じる方も少なくはない現状があります。東京23区の半数近くの自治体が東京都の特定不妊治療の助成金に対して上乗せ事業を行っています。
この東京都の特定不妊治療ですが、体外受精と顕微授精のみが対象となっています。また、特定不妊治療に至る過程の一環として行われる男性不妊治療にも一定の助成制度が設けられています。不妊治療は、特定不妊治療に至るまでも大きな時間とコストがかかります。不妊治療の流れは、まず初期の様々な検査から始まり、血液検査によるホルモン値により排卵日を予測するタイミング法、人工授精、それでも妊娠に至らなかった時に初めて体外受精や顕微授精にステップアップすることとなります。女性は不妊治療に入る前に、感染症検査やホルモン値などの血液検査に加え、甲状腺の検査、卵巣年齢を見る検査など、多くの基本検査が必要です。すべて保険適用されず、総額で大体7~8万円という金額がかかってしまいます。特定不妊治療に至るまでの基本検査費用が大きな負担になることから、治療自体を諦めている方がいる現状もあります。また、東京都が定めている所得制限も、世帯収入となっており、助成金がもらいにくい1つの要因となっています。
現在、渋谷区では、東京都の特定不妊治療に対する助成金をもらっている方の数を把握していますでしょうか。男性・女性ともに初期の検査費用に対しての助成制度、さらには、東京都の助成制度への上乗せ事業を行うのは、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
平成29年度に渋谷区で、東京都の特定不妊治療助成制度を利用したのは、294件でした。
不妊検査および一般不妊治療に対する助成制度は、平成29年度より東京都が助成を開始しており、また、特定不妊治療については、東京都が平成16年度より助成を開始し、その後、助成額の増額や、男性不妊 治療への助成開始、所得制限緩和、対象者を事実婚のカップルへ広げる等、充実してきています。区として独自の助成を行う考えはありません。
(4)精子・卵子凍結保存への助成について
がん患者の出産支援として、精子・卵子凍結保存への助成を提案します。若い世代のがん患者の妊娠・出産を支援するもので、がん患者の方が、抗がん剤や放射線治療の影響で、生殖機能が低下し、妊娠・出産が難しくなる場合があり、不妊のリスクが高くなる前に精子や卵子を凍結保存するものです。国立がん研究センターの調査によると、がん治療前に精子や卵子を凍結保存するなどの方法があることを知っている人は4割程度にとどまっているという調査があり、不妊のリスクが高くなることを知らず治療が進むケースが多いといいます。また、多くの費用がかかります。採取や凍結をするのに精子は2万~7万円、卵子は15万~45万円かかり、さらに保管する費用が精子では年間1万~6万円、卵子は5万円ほどです。この助成制度を導入することにより、がん患者の方の人生の選択肢を増やすことにつながると考えますがいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
ご指摘のとおり、がん患者の、将来の妊娠・出産については、がん治療の主治医と特定不妊治療の専門医との連携のもと、がん治療の早期の段階から相談できる体制の充実が重要だと考えております。
精子・卵子凍結保存への区としての独自助成は考えておりませんが、医師会やがん拠点病院と連携し、がん患者の相談支援体制の充実を働きかけてまいります。
(5)新生児の難聴検査の助成について
新生児聴覚スクリーニング検査は、産科医院や診療所でおおむね生後3日以内の赤ちゃんに対し行われています。検査方法は、一般的に耳に入れたイヤホンから小さい音を聞かせ、脳幹からの電気反応を調べるABR(自動聴性脳幹反応)か、音に反応して内耳から返ってくる反響音を測定するOAE(耳音響放射)のどちらかで検査が行われています。現在、検査は、母親が妊娠中に風疹と診断され、難聴を伴う恐れがある新生児を除いて、保険が適用されず、自由診療となっています。費用はより精度の高いABR(自動聴性脳幹反応)が5,000円でOAE(耳音響放射)が3,000円です。昨年末、厚生労働省が公費助成を促す通知を出したこともあり、4月より東京都では、3000円の助成が始まりました。
しかし、区として独自に、制度の高いABR(自動聴性脳幹反応)が受けられよう、公費助成の上乗せを検討すべきではないでしょうか。全国的にも、全額助成をしている自治体もあります。また、上乗せに合わせ、検査で異常が見つかった場合は、医療機関と情報共有しながら療育につなげていけるシステムの導入を提案します。この検査、システムの導入により新生児1000人当たりに1、2人とされている先天性難聴を早期発見し、早期の療育を行うことによって言葉の発達が促され、社会参加を容易なものとしてほしいと考えますが、区長の見解をお伺いします。
区長
4月より開始された新生児聴覚検査の助成制度は、検査可能な医療機関数やフォロー体制の現状を2 3区で協働して調査し、都内全ての子どもたちが検査を受けられる環境を構築していくため、都内全ての区市町村で開始された助成制度ですので区独自の対策については考えておりません。
(6)免許証返納に伴う助成について
2017年の75歳以上の運転手による死亡事故の、全年齢に占める割合は12.9%で、10年間で5%近く増加しています。75歳以上の免許保有率は2017年で540万人、自主返納は進んでいますが、それ以上のペースで75歳以上の保有率は増加しています。
昨今、高齢ドライバーによる歩行者を巻き込んだ、痛ましい交通事故が多発している現状から、高齢者の免許返納を促すとともに、生活の中で、どうしても車に乗らなくてはない高齢者がいる現状も考え、ASV(先進安全自動車)の購入に際して、補助金を出すのはいかがでしょうか。車両の条件は、①被害軽減ブレーキ②ペダル踏み間違い時速度抑制装置など、「サポカ―Sワイド」と呼ばれる4つの安全装置を備えている車のことです。
また、免許証を返納し、運転経歴証明書を発行する際には、1100円の手数料が発生します。運転経歴証明書は、運転免許証と同様に身分証明書として用いることができます。もちろん渋谷区でも、公的な証明書として活用することができます。また、運転経歴証明書を提示することにより、高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで、様々な特典を受けることができます。この免許返納にともなう運転経歴証明書発行に、補助金を出すことはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
高齢者による交通事故が増加傾向の中、運転免許を返納する気持ちを少しでも背中を押す意味で、昨年1 0月より、運転免許を返納された6 5歳以上の方に対しハチ公バスの回数券を1冊差し上げる助成制度をスタートしております。本年4月末現在、2 1 5人の方にご利用いただいております。助成制度の変更については、スタートして8か月しか経過しておらず、今後の利用実態を見ながら考えてまいります。変更検討の際は議員からのご提案も参考とさせていただきたいと存じます。
(1)避難所の備蓄品について
現在、災害に備え様々なものが備蓄されています。今年度も、使用期限や消費期限切れのものを入れ替えるなどで、新たな備蓄品を購入する予定がありますが、この入れ替えに伴い、今現在備蓄庫に入っているもの処理は、どのようにするのか質問します。一部のものは、地域の防災訓練等で配っていたり、粉ミルクに関しては保育園へ寄付したりしているとお聞きしましたが、その備蓄品の提供に関する規定、マニュアルはありますでしょうか。食品ロスの深刻さが大きく世界的にも言われる時代で、今国会でも食品ロスの減少目標を定めた法案も可決されています。その観点からも消費期限が切れてしまって、破棄することがないよう徹底をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
避難所の備蓄品については、マニュアルは整備していませんが、賞味期限を管理しており、計画的に入替を行っております。賞味期限が近づいた備蓄品については、地域の防災訓練、防災フェスで配布したり、保育園には賞味期限内に使用することを条件に提供するなど、できるだけ廃棄することがないように工夫しています。また、防災訓練等で配布しやすいよう、今まで備蓄していた飲料水は 2リットルのペットボトルでしたが、5 0 0ミリリットルのペットボトルに変更しています。今後も、備蓄品の廃棄を減らすように取り組んでまいります。
(2)液体ミルクの備蓄について
備蓄品に新たに液体ミルクを加えることを提案します。ミルクを作るには、お湯ときれいな水が必要になります。災害時、それぞれの子どもたちのニーズに合わせお湯を沸かすということは、大変困難です。そこで昨年8月より国内で販売が解禁された、液体ミルクを活用するのはいかがでしょうか。国でも、2019年度に改定された「防災に関する指針」で、災害時に必要な物資の位置づけとして、自治体に備蓄を促しています。しかしながら、液体ミルクにも難点はあります。それは、消費期限が半年程度ということです。現在、備蓄している粉ミルクは、1年程度の消費期限があります。以前、同じく液体ミルクを備蓄品に加える提案がありましたが、備蓄庫を半年に一回開け、備蓄品の交換は難しいとのことでした。そこで、備蓄先を避難所近くの保育園等にし、備蓄管理を任せるという形で、災害時に備えるというのはいかがでしょうか。粉ミルクも消費期限がきたら、保育園等に寄付をしているとことを踏まえ、液体ミルクも消費期限がきたものから、そのまま寄付をすれば、無駄になることなく備蓄が可能となります。大阪府箕面市(みのお)では125ml入りの液体ミルクを600個、市内4か所の公立保育所に分けて備蓄を行っています。消費期限が近づいたものは、日常の保育で使い、減った分を買い足していく「ローリングストック」の手法で備蓄を行っています。これらのことに対して、区長の見解をお伺いします。
区長
粉ミルクは賞味期間が2年前後であるのに比べ、現在販売されている液体ミルクの賞味期限は半年から1年と短くなっています。また、1回の使用量に対する価格を比較すると、粉ミルクに比べて単価が高く、さらに5度から35度の常温保存が必要とされ、備蓄倉庫での温度管理が求められるなど、備蓄にあたって課題も残されています。しかし、今後、製品の改良等により、賞味期間の延長、保存方法の改良、価格の低下なども進むことが考えられます。液体ミルクの備蓄にあたっては、粉ミルクと比較して備蓄品として適しているか、「ローリングストック」などの備蓄手法も含め、総合的に検討してまいります。
(3)安全・安心メールの多言語化について
現在、運用されている渋谷区安全・安心メールは、日本語のみの対応となっています。毎日のように、悪天候のお知らせや、不審者上のお知らせ、詐欺の電話があったお知らせなど、渋谷区の様々な情報が入ってきます。そのメールを見ることにより、不審者に対する警戒心を強めるなど、日々の防犯にもつながってきます。新たに導入された渋谷区防災ポータルサイトは多言語に対応している観点からも、日々の防犯につながる渋谷区安全・安心メールも多言語化すべきと考えますがいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。
区長
区では、メール配信システムをリニューアルし、平成29年12月から、注意報や警報などの気象情報、地震などの防災情報、特殊詐欺や不審者情報などの防犯情報を配信登録した区民に速報する「安全・安心メール」を運用しています。 また、新庁舎移転に合わせて導入した新防災情報システムによる「渋谷区防災ポータルサイト」では、英語、中国語、韓国語など4か国語に対応し、災害情報の発信を行っております。日本語以外を母国語とする、外国人等の安全安心を確保するために、各種情報を多言語で配信し、適切な行動をとってもらうことは、国際都市渋谷における防災対策として必要なことと考えます。「安全・安心メール」の多言語化については、システムの更新等を踏まえ、研究課題とさせていただきます。
(1)スクールロイヤー制度の導入
スクールロイヤー制度とは、弁護士が学校側の代理人ではなく、第三者的な立場で子どもや保護者の事情を検討して、学校側に助言をする制度です。教育委員に弁護士の方も入るこのタイミングで、この制度を導入するのはいかがでしょうか。国でも、スクールロイヤーの拡充に向けて、日弁連や各地の弁護士会と連携する考えを示しました。その背景の一つには、いじめ防止対策推進法ができたのに、学校や教育委員会の不適切な対応がなくなっていないところにあります。スクールロイヤー制度は、当初、学校現場でのいじめ防止を目的に、弁護士に授業を行ってもらうなどして、相手に手を出せば傷害罪に問われたり、いじめで精神的な苦痛を与えれば損害賠償を求められたりするということを想定していました。その後、教員の働き方をめぐる負担軽減の議論で、スクールロイヤーに求められる役割も変化しており、保護者からの過度な要求や苦情への対応も期待されているのが今のスクールロイヤー制度の運用実態です。千葉県野田市で起こった小学4年生の虐待事件では、虐待をしていた父親が、学校や市の教育委員会に名誉棄損で訴えると訴訟をちらつかせ、その威圧的な態度に学校長は、情報開示をする旨の念書にハンコを押してしまいました。また、「お父さんに暴力を受けている」と書かれたいじめに関するアンケート用紙の写しを、市の教育委員会は渡してしまいました。スクールロイヤー制度の導入により、弁護士に相談することによって、法律に詳しくない教員が威圧的な言動で迫られ、対応に苦慮し、間違った対応をしてしまうことを防ぐことができます。その他には、子供の保護者からいじめられているとの訴えがあった場合、いじめなのか、遊びの延長なのか、教員ではなかなか判断しかね、解決策が見いだせません。そんな時、スクールロイヤー制度を活用することで、弁護士が客観的な立場から事例の解決に導きます。
東京都港区では、2007年度にスクールロイヤー制度を導入しています。学校長や教員は直接、電話で弁護士に相談でき、司法の観点を踏まえて助言を受けることができます。当事者同士の話し合いに同席を求めることも可能です。学校から弁護士に寄せられた相談は、年間40件弱で、内容はいじめ問題や近隣家庭からの苦情、保護者の理不尽な要求などでした。学校側が判断に迷った際に、駆け込めるところがあるということは、教員の心理的負担の軽減にもつながっていると考えますが、区長、教育長の見解をお伺いします。
教育長
スクールロイヤー制度とは、学校内でいじめ問題等が起きた際に弁護士を学校に派遣し、法律の専門家である弁護士の知識や経験を活かして法務的観点から学校に助言を行うものであり、重要と考えています。学校現場における弁護士の活用については、学校の状況や要望に応じて、教育委員会において適切に対応するものと考えています。
(2)制服のリサイクル事業
現在の、渋谷区立小・中学校の標準服、夏服、冬服を合わせた値段ですが、小学校で一番高いもので、女子の制服で約5万円、中学校で約7万6千円です。大変高額なものとなっています。また、中学生の成長期には、1年時に買った制服が3年生になった時には、小さくなったしまって着られないということもおこってしまいます。だからといって3年で新たに制服を買いなおすことは、家庭に大変な負担です。そこで、制服のリユース、再利用を教育委員会として推し進めていくのはいかがでしょうか。東京都公立高等学校PTA連合会では、PTAが制服のリユースを始める際の参考になる「活動ガイド」を作って取り組みを進めています。福岡県古賀市の教育委員会では、市内の中学校や近郊の高校の生徒に呼びかけ、不用になった制服を集めています。約300点を市役所内で保管し、来庁した希望者に無料で譲渡しています。愛知県長久手市では、市が回収事業を行い、各中学校に呼びかけ、制服の譲渡会を年1回開いています。かつては上級生から不用になったおさがりを譲り受けることも多くありましたが、最近では、近所の付き合いなどが減り、その機会も減ってきている現状があります。せっかく使えるものが家の中で眠っているのは大変もったいなく、家庭に眠る資源を最大限に活用し、子どもを助け合って育てるネットワークの形成、さらには、物を大切にする意識の向上につなげていけるのでないかと考えます。
現在、渋谷区の公立小中学校で、制服のリユースを行っている学校はどのくらいありますでしょうか。もし、行っていない学校があるのであれば、PTAの方々と協力し、制服のリユースを進めるのはいかがでしょうか。教育長の見解をお伺いします。
教育長
議員御提案の制服リユースは、御家庭の経済的な負担を軽減することとなります。現在、区内の全ての中学校が標準服のリユースを行い、小学校では標準服のある三校のうち二校がリユースを行っています。残りの一校については、昨年度から標準服の導入であるため、現段階では行われていませんが、今後、実施に向けて検討していくと聞いております。
各校では、PTAに御協力をいただき、使用済みの制服の回収、希望者への配布が自発的に行われていますが、今後は、教育委員会といたしましても、PTAに対し必要な支援内容を聞き取りつつ、標準服のリユース・再利用を進めてまいります。
(3)放課後クラブ事業者へのAED指導
先日の教育委員会の定例会の報告の中に、放課後児童クラブでの事故の報告がありました。その中で、骨折等を含む、救急車を要請する大きな事案もありました。放課後クラブ事業者に対しては、応急手当の指導は行っていますが、AEDの使用方法の訓練については、事業者にまかせており、区としては、指導を行っていないとのことでした。いつどんなことが起こるかわかりません。特に小学生は注意も散漫になり、大きなけがをすることもあります。現在渋谷区では、各小学校にAEDを配備しています。いざというとき、AEDはあるが、使い方がわからないでは救える命も救えません。そのことからも、放課後クラブ事業者にはAEDの使い方の講習を必ず受けてもらうようにするべきではないでしょうか。厚生労働所が作成している、放課後クラブ運営指針にも放課後クラブで事故等が発生した場合、速やかに適切な処置を行う必要がると明記してありますが、教育長の見解をお伺いします。
教育長
放課後クラブにおいては、児童が安全・安心に活動できる環境を整えることは重要です。議員御指摘のとり、AEDの講習については、各委託事業者における研修などにより実施されていますが、今後、教育委員会が実施している校庭開放指導員研修会での合同実施や、各小学校にて実施している教職員の研修などに参加する機械を設けるなど、事故等が発生した場合に速やかに対応できるよう検討してまいります。
(4)教育委員会の傍聴規則
現在の教育委員会の定例会では、傍聴者に対しては、資料の提供はなく、読み上げられている数字等をメモすることに留まっていおります。個人情報等が書かれている部分は隠していただき、持ち帰ることで支障が生じるなら、回収しても構わないと思いますが、傍聴者にも資料を提供することはできないのでしょうか。それも現状できないということであれば、渋谷区はICTの活用を積極的に進めておりますので、大きな画面に資料を映し出す等をすることも可能かと考えますが、いかがでしょうか。教育長の見解をお伺いします。
教育長
教育委員会会議規則第十一条第一項本文において、「会議は、公開とする。」としており、また、同規則第三十条において、傍聴の規定があり、さらに別に傍聴規則が定められています。そして、会議規則第二十九条において、会議録の公表につき規定はあるものの、傍聴者への資料配布については規定はございません。議員の御提案については、区長部局や区議会の傍聴に対する考え方も考慮しながら、規則改正の検討を始めており、改正案がまとまり次第、教育委員会に諮りたいと考えます。